京都大学理学部数理科学系における専門科目

一通り専門科目を履修したので感想等を残す。代数学幾何学解析学はどうせみんな取るのでそれ以外をある程度書いた。非線型解析だけは履修していないので申し訳ない。

前期

複素関数

関数論の続き。とは言えだいぶ難しい。正直言って内容が濃すぎてほとんど覚えていない。Riemann球面を導入して正則関数の位相的な性質に関する理解を深めたり、留数定理の応用として二つの正則関数のある領域内での零点の個数が一致することを示したり、正則関数列の収束先にどのような性質が保存されるかみたりする。あるいは特異性、つまりは極としてこういう点を持つみたいな正則でない点に関する情報、を持ついい感じの関数は存在するのか、みたいなことをやる。Mittag-Lefflerの定理を用いて三角関数の奇妙な和公式を導いたりして結果は面白い。後は無限積を定義したり楕円関数やアイゼンシュタイン級数を少しやる。

大体アールフォルスと同じことをやるらしいので気になったらそっちで内容を確認してほしい。

代数学

可換環論、というか加群論をやる。代数学入門程度の知識は必要、というか代数学の議論に慣れてないと辛い。少なくとも準同型写像や同値類で割って計算することに慣れておいた方が良い。

アティマクや青雪江を参考にするといい。

幾何学

多様体論をやる。たしかストークスの定理あたりまでをやる。ベクトル解析や幾何学入門の微分幾何的な部分の一般化というか発展みたいな感じ。

多様体の基礎やTu多様体を参考にするといい。

微分方程式

微分方程式の初期値問題の解の構成をする。アスコリアルツェラの定理とか連続性の細かい分類はここで初めて遭遇するかも。2点境界値問題を題材に積分微分を線形作用素とみて固有値問題に帰着させて考えたりする。その後は解析的な関数というクラス、ようは冪級数で表される関数を導入して特異性を持つ微分方程式の解を冪級数で解いてみるみたいなことをする。ガウスの超幾何級数やベッセル関数、ノイマン関数とかが出てくる。

朝倉書店の微分方程式の基礎を参考にしてたが講義ノートが丁寧だったのであまり使ってない。

解析学

ルベーグ積分を頑張る。集合というか位相的なものの扱いに慣れていた方が良い。

参考書はなんでも良さそう。

計算機科学

意味論をやる。だいぶ論理学っぽい。そこまで前提知識は必要ないが強いて言えば集合論の言葉に慣れておいた方が良い。

参考書というか講義ノートが充実してるのでそれで勉強しよう。

後期

関数解析

無限次元の線形代数と言われてたりする。ただ行列のような便利なものがない中色々な理論が出てきて面白い。解析学Ⅰの知識が無いとL^p空間などの具体的な空間について何もわからない。Banach空間、Hilbert空間といった空間について考え、その後は空間の間の作用素について学んでいく。解析学の分野ではあるがだいぶ代数的な感覚が活きている分野だと思う。割と緩そうな仮定から強い性質を導けたり面白い分野だと思う。

参考書としては黒田関数解析や泉先生の数理科学のための関数解析学が良さそう。というか後者はこの授業の講義ノートをもとにしているらしい。

代数学

体論というかガロア理論をやる。ガロア群を計算するので群論を復習しておこう。終盤はガロア理論の応用として作図問題や五次以上の方程式は代数的な一般解が存在しないことを示したりする。ガロア群の計算で群論を用いるのでそこら辺の知識は必要。加群論とはだいぶ趣が違うので代数学Ⅰの知識はあまり必要ない。

青雪江や桂代数学Ⅲ、ロットマンとかが参考になる。

幾何学

代数トポロジーをやる?微分形式から始まってマイヤーヴィートリス系列をいじってコホモロジーを計算した。だいぶ難しい気がする。というか難しい。幾何学Ⅰとはうってかわって代数的な考えをメインに進んでいく。よくわからないまま完全列の計算をしまくっていたら単位が取れてしまった。単体複体は少し面白いと思えるだけの余裕があった気がする。でも結局難しい。

参考書としてはdifferential forms in algebraic topologyとかだろうか。単体複体については裳華房位相幾何学を参考にしたが他にもっといいのがあるかも。

数値解析

微分方程式をコンピュータで解く、実際には近似解だが、とはどういうことかを学ぶ。コンピュータ上では極限操作なんかできないので微分を差分で近似して上手く近似解を求めるのだが、その際の差分の取り方によってはめちゃくちゃな解が出たりするのでそのアルゴリズムの評価をして数学的に正当化したりする。また、コンピュータは有限桁しか情報が保存できないので計算誤差が出てしまう。アルゴリズムによっては誤差が蓄積したりするので誤差も考慮したアルゴリズムを考えたりする。数学的な正当化にFourier解析や関数解析の要素が入っていたりするので同時期に受講するとちょっとお得な気がする。

参考書はよくわからなかった。絶対値の三角不等式を用いた評価がちゃんとできるならなんとかなるはず。数学が実用的に役立っているのがわかって安心した。

解析学

周期関数のFourier級数展開を学び、Fourier変換へと進んでいく。解析学Ⅰでルベーグ積分を支えるようにしておきたい。変な等式とか学べる。なんかCTスキャンとかに役立つらしい。微分方程式が格段に解きやすくなったり色々便利なものが学べる。後半では超関数を導入してちょっと広い見方を学べる。デルタ関数は関数じゃなかった。

参考書は何もわかりません。講義ノートがめちゃくちゃ丁寧だったので。